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高反発と低反発の違いは硬さではない|JIS規格の2つの数値で選ぶマットレス

マットレスを高反発と低反発のどちらにするかで迷っている人の多くは、「高反発は硬い、低反発はやわらかい」という説明を読んで、かえって決められなくなっています。硬めが欲しいから高反発、と選んだのに沈み込みが気になった、という話が起きるのはこのためです。

実は、高反発と低反発を分けている数値と、硬さを表す数値は別物です。どちらもJISの試験方法で測られていますが、測っているものがまったく違います。この記事では、その2つの数値を規格の定義から切り分けたうえで、自分がどの組み合わせを選べばよいかを決める手順まで整理します。

この記事を書いた人
マットレス比較ラボ編集部素材と硬さと価格から、自分に合うマットレスを選ぶための解説メディア

寝具の数値や表記は、業界団体の公開資料とJISの試験方法にあたって確認しています。体感だけで語らず、どの規格のどの試験で測った数値なのかを明示する方針です。症状に関する助言は行いません。

高反発と低反発を分けているのは反発弾性率という数値

数値を比べるグラフのイラスト

高反発と低反発という呼び分けの根拠になっているのは、反発弾性率という1つの数値です。ウレタンフォーム工業会は、高弾性フォームを反発弾性率が50%以上のもの、低反発フォームを反発弾性率が15%程度以下のものと説明しています。つまり、この2つは連続した1本の物差しの両端にあります。真ん中の帯に入る素材も当然あるので、すべてのマットレスがどちらかに分類できるわけではありません。

反発弾性率は鋼球を落として測る

測定方法はJIS K 6400-3で決まっています。日本ウレタン工業協会の説明によれば、直径16mm・質量16gの鋼球を落下させ、跳ね返った最高の高さを落下高さである500mmの百分率で表したものが反発弾性率です。

500mmから落として250mm跳ね返れば50%になります。ここで測っているのは「戻る速さ」であって、「押したときの重さ」ではありません。この区別が、あとで効いてきます。

高反発は50%以上、低反発は15%程度以下

ウレタンフォーム工業会は、高弾性フォームについて圧縮後に復元しやすくヘタリにくいと説明し、低反発フォームについては感触がよく体圧分散に効果的としています。日本ウレタン工業協会の資料では、低反発弾性フォームの反発弾性率の数値目安は2〜4%とされています。

15%以下という区分の中でも、実際の製品はかなり低い値に寄っているということです。手で押したときに凹みがゆっくり戻る、あの感触はこの数値の低さから来ています。

区分反発弾性率説明されている特徴
高弾性(高反発)50%以上圧縮後に復元しやすくヘタリにくい
中間の帯15%超〜50%未満どちらの呼び名も付きにくい
低反発15%程度以下(目安2〜4%)感触がよく体圧分散に効果的

言葉の印象に引きずられないよう、2つの数値の違いを並べておきます。

  • 反発弾性率は戻る速さ。鋼球の跳ね返りで測る
  • 硬さは押したときの重さ。加圧板の荷重で測る
  • 高反発・低反発という商品名は、反発弾性率の側だけを指している
  • 密度は耐久性の目安になる3つ目の数値
💡 ここだけ押さえる

反発弾性率が測っているのは、鋼球がどれだけ跳ね返るか、つまり元の形に戻る速さです。硬さを測っている数値ではありません。高反発と低反発という言葉は、この1つの数値の両端を指しています。

硬さは反発弾性率とは別の試験で決まる

目覚まし時計のイラスト

カタログでもう1つよく見かけるのが、N(ニュートン)という単位の数値です。これは硬さを表すもので、反発弾性率とはまったく別のJIS試験で測られています。日本ウレタン工業協会は、硬さの測定方法をJIS K 6400-2として説明しています。2つの数値が別の試験から来ている以上、片方から他方を推測することはできません。ここを押さえると、カタログの読み方が変わります。

N(ニュートン)は押し込んだときの荷重

JIS K 6400-2のA法(硬さ40%)では、直径200mmの加圧板で垂直方向に、初めの厚さの70%のひずみ量まで押し込む操作を3回繰り返します。そのうえで初めの厚さの40%のひずみ量まで押し込み、静止後30秒経過した時の荷重を読み取ります。

同じ規格にはD法(硬さ25%)もあり、こちらは75%まで押し込んで荷重を除いたあと、25%のひずみ量まで押し込み、静止後20秒経過した時の荷重を読み取る方法です。押し込む深さも待ち時間も違うので、どちらの方法で測ったN値かが書かれていない数値は、他社の数値と単純に比べられません

測る対象JIS番号何をするか読み取るもの
反発弾性率JIS K 6400-3直径16mm・16gの鋼球を500mmから落とす跳ね返った最高の高さの百分率
硬さ(A法)JIS K 6400-2φ200mmの加圧板で40%のひずみ量まで押し込む静止後30秒経過した時の荷重
硬さ(D法)JIS K 6400-275%まで押し込んで除荷し、25%のひずみ量まで押し込む静止後20秒経過した時の荷重

高反発だから硬い、が成り立たない理由

反発弾性率は鋼球の跳ね返りで測り、硬さは加圧板を押し込んだときの荷重で測ります。測っている現象が違うので、反発弾性率が高くても荷重が小さい素材、つまり「よく戻るがやわらかい」素材は成立します。

逆に、反発弾性率が低くて荷重が大きい「戻りは遅いが押すと重い」素材もあります。硬めが欲しくて高反発を買ったのに沈み込みが気になった、という食い違いは、この2軸を1軸だと思い込んだときに起こります。

編集部

「高反発」はよく戻る、「硬い」は押すと重い。日本語では似た印象の言葉ですが、試験としては別物です。売り場でこの2つを分けて聞けるだけで、選択の精度が上がります。

2つの数値を組み合わせると4つのタイプに分かれる

指標を確認するイラスト

反発弾性率と硬さを独立した2本の軸として置くと、マットレスは4つの象限に分かれます。商品名に付いている「高反発」「低反発」はこのうち横軸だけを示していて、縦軸である硬さは別に確認しないとわかりません。この表を頭に入れておくと、店頭で寝比べたときの違和感を言葉にできるようになります。合わなかった理由が反発の側なのか硬さの側なのかを切り分けられるからです。

組み合わせ寝たときの印象相性がよい条件
高反発×硬め沈まず、押し返しが強い体重があり、寝返りが多い
高反発×やわらかめ沈むがすぐ戻る体重が軽く、寝返りは打ちたい
低反発×やわらかめ包まれて、戻りが遅いフィット感を最優先したい
低反発×硬め重いが戻りは遅い製品数が少なく、選択肢は限られる

高反発でもやわらかい製品はある

反発弾性率が50%以上あっても、N値が小さければ体は沈みます。ただし沈んだあとの戻りは速いので、寝返りの打ちにくさは感じにくくなります。体重が軽い人が「高反発は硬すぎる」と感じたときに、反発弾性率ではなく硬さの側を下げると解決することがあるのはこのためです。

逆に、寝返りのしにくさが気になるなら、硬さではなく反発弾性率の側を上げるのが筋の通った直し方になります。

2軸で考え直すと、店頭での「合わなかった」を次の言葉に置き換えられます。

  • 沈みすぎると感じた → 硬さの軸を上げる
  • 寝返りが打ちにくいと感じた → 反発弾性率の軸を上げる
  • 腰だけ浮くと感じた → 硬さの軸を下げる
  • 包まれる感じが足りない → 反発弾性率の軸を下げる

低反発×硬めが少ない理由

低反発フォームは、感触のよさと体圧分散を目的に使われる素材です。硬く作ると包み込む感触が薄れ、その特徴が生きません。結果として、市場に出ている低反発製品はやわらかめに寄る傾向があります。

低反発の寝心地は好きだが沈み込みは抑えたい、という要望は、マットレス本体ではなく上に載せるトッパーの厚みで調整するほうが現実的です。

寝姿勢と体格から自分の位置を決める

ベッドで過ごすイラスト

2軸が分かったら、自分をどこに置くかを決めます。順番は決まっていて、先に反発弾性率を決め、あとから硬さを決めます。反発弾性率は寝返りの打ちやすさに直結し、あとから寝具を足して調整しにくいためです。硬さのほうは、トッパーやベッドパッドを重ねることである程度やわらかい方向へ動かせます。動かしにくい軸から決めるのが、買い直しを減らすコツです。

寝返りの多さで反発弾性率を決める

朝起きたときに布団が乱れている、寝ている間に何度も向きを変えている自覚がある、という人は、戻りの速い側が合いやすくなります。各社のコラムが共通して寝返りのしやすさを基準に挙げているのも、この軸が体感の差として出やすいからです。

反対に、寝入ってから朝までほとんど姿勢が変わらない人は、戻りの速さより包まれる感触を優先しても困りにくくなります。

  • 寝返りが多い、朝に布団が乱れている → 反発弾性率が高い側
  • 横向きで寝る時間が長い → 肩と腰が沈む余地が必要なので、硬さを上げすぎない
  • 仰向けが中心で姿勢が変わりにくい → 反発弾性率は低めでも成立する
  • 2人で使い、寝返りの振動が気になる → 振動の伝わりにくさも合わせて確認する

体重と体格で硬さを決める

同じN値のマットレスでも、体重が重いほど深く沈みます。硬さは体重とセットで考える数値であって、単独では意味を持ちません。体重が軽い人が硬めを選ぶと、腰が浮いて背中の一部だけで支える形になりやすくなります。

体格差のある2人で1枚を使う場合は、どちらかに合わせるのではなく、上に重ねる寝具で個別に調整するほうが折り合いをつけやすくなります。

  • 体重が軽い → N値は低めから試す。硬すぎると支点が減る
  • 体重が重い → N値は高めから試す。沈み込みが深くなりやすい
  • 体格差のある2人で使う → 本体は中間にして、トッパーで個別に調整する
  • 子どもが使う → 沈み込みすぎない硬さにする。やわらかすぎる寝具は避ける
編集部

先に反発弾性率、あとから硬さ。この順番だけでも覚えて帰ってください。硬さは後から寝具を足して動かせますが、戻りの速さは本体を替えないと変わりません。

編集部

体重と硬さはセットです。同じN値でも、体重が違えば沈む深さが変わります。数値だけを他人と比べても意味がないのはこのためです。

カタログでこの2つを確認する手順

チェックリストのイラスト

ここまでの整理を、実際の商品ページに当てはめます。見るべきは3つの項目で、日本ウレタン工業協会が低反発弾性フォームの代表的な物性項目として挙げているのも、密度・硬さ・反発弾性率の3つです。この3つがそろって書かれている商品ページは、それだけで情報開示の姿勢が読み取れます。逆に、体感の言葉しか並んでいないページは、他社と比べる材料がありません。

1
反発弾性率の表記を探す

%の数値があるかを見ます。50%以上なら高弾性、15%程度以下なら低反発の帯に入ります。

2
N値と測定方法を確かめる

JIS K 6400-2のどの方法かまで書かれているかを見ます。書いていなければ他社比較には使えません。

3
密度を見て耐久性の目安にする

密度は3つ目の代表項目です。同じ硬さでも密度が低いものはへたりの進み方が変わります。

表記が無い商品をどう扱うか

数値の記載が無い商品が悪いとは限りませんが、比較の土俵には乗りません。同じ価格帯で数値を出している商品があるなら、そちらを基準にして、記載の無い商品は実際に寝てみる前提で候補に残す、という扱いが現実的です。

問い合わせフォームがあるなら、反発弾性率とN値の測定方法を聞いてみてください。回答の丁寧さ自体が判断材料になります。

問い合わせるときは、次の3つをそのまま聞けば足ります。

  • 反発弾性率は何%か。JIS K 6400-3で測った値か
  • N値はJIS K 6400-2のA法とD法のどちらで測った値か
  • 密度は何kg/m³か

店頭で確かめるときの見方

売り場では、手のひらで押すだけで終わらせないでください。押した感触は硬さの軸しか教えてくれません。反発弾性率の側は、押したあとに指を離して、凹みが戻るまでの時間を見るとわかります。

そのうえで実際に寝て、仰向けから横向きへ体の向きを変えてみます。ここで力が要ると感じたら、戻りが遅い側に寄っている可能性があります。

⚠️ 注意したい点

腰や背中に痛みがある場合、マットレスの硬さで解決しようとする前に医療機関にご相談ください。当サイトは寝具の仕様を整理する立場であり、症状に対する助言は行いません。

よくある質問

高反発と低反発の選び分けについて、検索で多く見かける疑問を4つ取り上げます。数値の定義は業界団体の公開資料にもとづいて答えていますが、製品ごとの実測値は各メーカーの表記をご確認ください。体格や寝姿勢によって合う組み合わせは変わるため、ここでの回答は最終的な結論ではなく、判断の出発点として使ってください。なお、体格や寝姿勢によって合う組み合わせは変わるため、ここでの回答は判断の出発点として使ってください。

結局どちらを選べばよいですか

寝返りの多さで決めるのが、いちばん外れにくい方法です。朝に布団が乱れている、寝ている間に何度も向きを変えている自覚があるなら、反発弾性率が高い側が合いやすくなります。

反対に、寝入ってから朝までほとんど姿勢が変わらず、包まれる感触を好むなら低反発側が候補になります。どちらに決めたあとも、硬さはトッパーなどで調整できるので、先に反発弾性率を決めてから硬さを詰めてください。

高反発は必ず硬いのですか

そうとは限りません。反発弾性率はJIS K 6400-3で鋼球の跳ね返りを測った数値、硬さはJIS K 6400-2で加圧板を押し込んだときの荷重を読み取った数値で、別々の試験です。

したがって、反発弾性率が50%以上でもN値が小さい、つまりよく戻るがやわらかい製品は成立します。商品名の「高反発」は硬さを保証する言葉ではないので、硬さはN値の欄で別に確かめてください。

N値が同じなら同じ硬さですか

測定方法が同じなら比較できますが、違う方法の数値どうしは比べられません。JIS K 6400-2にはA法(硬さ40%)とD法(硬さ25%)があり、A法は40%のひずみ量まで押し込んで静止後30秒の荷重、D法は25%のひずみ量まで押し込んで静止後20秒の荷重を読み取ります。

押し込む深さも待ち時間も違うため、同じ数字でも意味が変わります。カタログのN値を他社と比べるときは、測定方法の記載があるかどうかを先に確認してください。

低反発は本当にへたりやすいのですか

ウレタンフォーム工業会は、高弾性フォームについて圧縮後に復元しやすくヘタリにくいと説明しています。これは高弾性側の特徴としての記載であり、低反発側が必ず早くへたるという意味ではありません。

耐久性を見るなら、反発弾性率だけでなく密度も確認してください。密度は低反発弾性フォームの代表的な物性項目の1つとして挙げられており、同じ硬さでも密度によって使い込んだときの変化が違ってきます。

まとめ

高反発と低反発を分けているのは反発弾性率という1つの数値で、高弾性は50%以上、低反発は15%程度以下とされています。硬さを表すN値はこれとは別のJIS試験で測った数値であり、片方からもう片方を推測することはできません。選ぶときは、寝返りの多さで反発弾性率を先に決め、体重と体格でN値を後から詰めます。

硬さはトッパーなどで動かせますが、戻りの速さは本体を替えないと変わらないからです。素材ごとの違いは素材・構造のカテゴリ、硬さの詰め方は硬さ・寝心地のカテゴリ、買い替えの目安は価格・寿命のカテゴリで扱っています。